CSS概要編
-1 Web環境の流れ
当サイトタイトルにも挙げております「Web標準」とはどのようなことをいうのでしょうか。
「Webで標準的に利用される技術の総称」というのがその解説となっていますが、現実的にどういうものを指すのか、どういうことをしたらいいのか、このCSS概要編では まずそれを考えてみたいと思います。
Web環境の旧時代
Web技術の標準化と推進を目的として活動している代表的な団体に W3C(World Wide Web Consortium)があります。
このW3Cが策定する仕様書が「Web標準」として広く認められています。
1994年のW3C設立以降、主にMicrosoft社によるInternet Explorerと、Netscape社によるNetscape Navigatorなどのブラウザが次々に発表されましたが、W3Cの提唱するWeb標準の実装に消極的であった上、非標準的な個々のブラウザの独自拡張を多数生み出していきました。
Webページのデザインがひとつの専門業務として請け負われるようになったのも、この頃、1995年前後といわれています。
そのような中、当サイトで主に取り上げるCSS(Cascading Style Sheets:カスケーディングスタイルシート)が当時すでに勧告されていたにもかかわらず、これらブラウザのCSS実装不備によって、その後長く「CSSは不完全で扱いにくいもの」という誤解を醸造・定着させてしまったと言われています。
その後、ブラウザは次々にバージョンアップされていきますが、CSSの実装不備という状態は続きます。
その間 Webページの発展に伴って視覚表現を充実させたいという発注者と制作者の要求を満たすために、構造言語であるHTMLを表現のコントロールのために使うという「タグの誤用」が定着していきました。
当サイトのタイトルでいうところの「テーブルレイアウト」とは、このタグの誤用のひとつで、非表示化したテーブル要素のボーダーをマルチカラムレイアウトのためのグリッドとして使用するというものです。
さらに 開発・発表されるWeb作成ソフトも、正しいHTMLのアウトプットはその目的とされてはおらず、結果的に見栄えのするそれらしいページが作られ続けていったこと、また、当のWeb標準側も前述したブラウザの現状に妥協した仕様を勧告してきたこと、等々、様々な環境的現実的問題点がWeb界に蔓延していたわけです。
その後 方針転換が図られ、HTML本来の役割が企図されたHTML4.01が1999年に勧告されましたが、一度普及した技術を正すのは非常に難しく、発注者も制作者も正しいHTMLに移行する意味と意義を理解することができませんでした。
そこに、「コンピューターが理解しやすい情報を送り込もう」という考え方がなかったのです。
それにより パソコンの普及、ネットワークの整備などでWeb利用者が増え続けているにもかかわらず、「年齢の差、障害の有無などに関係なく、誰もが等しくWebサイトを利用できる」という環境が整備されてきませんでした。
Web環境の新時代
しかし、その風向きも次第に変わってきました。
2000年以降、それまでデザイン性主体・見栄え重視の作業を行ってきた制作者が、「使いやすさ、わかりやすさ」などの概念に注目するようになってきました。
2004年には 日本工業規格(JIS)が、日本国内のアクセシビリティ基準である「WebコンテンツJIS」を発表しました。
その目的は要約すると、
「情報社会の発展とともに、すべての人が情報通信技術によるサービスを利用するようになる。その中でワールドワイドウェブ技術は重要な技術の一つである。この規格は、主に高齢者、障害のある人が これらの機器やサービスを利用する時の情報アクセシビリティを確保するために、ウェブコンテンツを制作する際配慮すべき事項を明示したものである。」
とあります。
これからのWebデザインには「人間のための視覚表現」とは分離された、「コンピュータープログラムに正しい情報を伝えるという意識」が必要となります。この意識が つまりは正しい構造言語の使用ということになります。
なぜなら、コンピュータープログラムに情報が正しく伝わらない言語記述では、検索エンジンや音声読み上げソフトウエアなどを利用するユーザーにとって使いづらいWebページとなってしまうからです。
結果、前述した標準化の流れに背くばかりか、広範なユーザーを開拓しようとする発注者の意義に反することになってしまうのです。